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これからのシロアリ対策

​農薬系殺虫剤は時代遅れ

これまで述べてきたとおり、シロアリ対策を農薬系殺虫剤で行うことは、経済的にも地球環境的にも合理的ではありません。

オーストラリアでは1930年代から、ニュージーランドでは1950年代から、アメリカでは1980年代からホウ酸がシロアリ対策に使用されています。ホウ酸処理が選択される理由は、有効成分が材の中央まで拡散するので、小口面や割れ目からシロアリが侵入しても、食害されないからです。

ホウ酸は2,000万年もの間、灼熱の砂漠に埋もれていた無機物です。100年、200年ではびくともしません。木材中にホウ酸がある限り防腐防蟻効果が持続します。

​ホウ酸とは

ホウ素は原子番号5の元素で、天然には酸素と結合したホウ酸塩として存在します。私たちの健康にとって大切な微量栄養素でもあり、代謝や骨の健康、脳の機能向上に役立ちます。

成人が健康な生活を送るには、ホウ酸に換算して1日10~15㎎が必要といわれています。またホウ酸は、植物にとっても必須元素です。特に野菜や果実の育成には欠かせません。世界で肥料として使用されるホウ酸塩は年間6万トンにもなります。

ホウ酸に強い哺乳動物

哺乳動物が過剰のホウ酸塩を摂取すると、細胞に届く前に腎臓でろ過され、体外へ排出されます。そのため、ホウ酸塩は人、犬、猫など哺乳動物に対する毒性は微弱です。人やペットに優しく、昆虫やダニ、バクテリアなどに厳しいホウ酸は、理想的な殺菌・殺虫剤といえます。

ホウ酸塩の毒性

ホウ酸塩は食毒です。ホウ酸塩の人に対する半数致死量は、体重60㎏の人に対して200gです。

つまり体重60㎏の人がホウ酸200gを一度に飲むと、2人にひとりが死亡してしまいます。

米国の食品栄養局では、ホウ酸塩摂取量の上限を1日あたり162㎎としています。

一度に2gのホウ酸を摂取すると、成人でも嘔吐や下痢が始まると言われています。ちなみにワイン1リットルに含まれるホウ酸の量は、25~35㎎です。

結論としては、意識的に多量に摂取しない限り、ホウ酸塩が人の健康を害する心配はなさそうです。

ホウ酸の弱点

ホウ酸は水溶性の薬剤なので、水に濡れると溶脱して、シロアリ対策としての効果が薄れてしまいます。農薬系殺虫剤を薬剤として使用するシロアリ業者の中には、「日本の土台は水に濡れやすいので、ホウ酸はシロアリ対策には不適当」と主張する方もいます。しかし、住宅の土台は、地面から約50cm離れ、基礎パッキンでコンクリート面から離され、水きり板で雨から保護されています。現場を熟知した建築のプロからすれば、土台が水に濡れやすいという主張は、とても考え難いものです。ちなみに日本と気候が近い米国やニュージーランドでは、既に土台のホウ酸処理が広く普及し、シェアが80%以上を占めています。

日本のシロアリ業界

ホウ酸は、シロアリ対策に理想的な薬剤ですが、日本でのシェアはまだほんの数%です。日本でのシロアリ工事は、新築時に安い価格で施工し、5年ごとの再処理で利益を得るビジネスモデルが確立しています。これはシロアリ業者だけでなく、新築時に出来るだけコストを抑えたい建築会社や消費者にとっても、都合が良い仕組みです。

しかし、5年ごとの再施工が必要なシロアリ対策は長い目で見ると、消費者にとても大きな負担がかかります。農薬系殺虫剤を使用するシロアリ業者にとっては、1回の施工で半永久的に効果が継続するホウ酸によるシロアリ対策は、良いと思っていても取り組むことができないのです。

自分で出来るシロアリ予防

シロアリは、食料(木材)と湿気があると、どんどん繁殖し、周囲の木造建築物を絶えずうかがうようになります。シロアリの圧力の高い状態では、雨漏りや漏水事故があれば、すぐにシロアリの食害が始まります。日頃から、次のようなことに注意しましょう。

  • 雨漏りや漏水はないか

  • 基礎近くまで、植木や敷き藁が置かれていないか

  • 家の周囲にごみや木屑を置いていないか

  • 家の周囲に枯れた切り株が放置されていないか

  • 家の近くに薪など置いていないか

  • 通風口の前に物品が置いていないか

  • ポーチやデッキの柱が地面に接触していないか

  • サイディングや断熱材が地面の下まで伸びていないか

シロアリは地球に必要な生き物

地球に降りそそぐ太陽エネルギーは、炭酸ガスと水を原料に、毎年膨大なセルロースを生み出します。樹木が枯れるとシロアリがすばやく食い尽くすおかげで、セルロースは再び水と炭酸ガスに戻り、森やサバンナの正常な循環がたもたれています。シロアリはこのような働きを3億年も前から行ってきました。シロアリは地球にとってなくてはならない生き物なのです。さてその一方で、地球に必要なシロアリを邪魔者扱いしている私たち人間は、地球にとって必要な存在といえるでしょうか?私たちは、今一度自分たちの生活スタイルを見直し、より環境に負荷をかけない生き方を選択していくということが、とても大切ではないかと考えています。

竹屋のシロアリ対策

私たちの会社は、1894年の創業以来、製材、材木屋、住宅設備の販売、工務店など、住宅に関わる事業を幅広く展開してきました。こうした事業を継続していくと、色々な場面で業界の常識が世間の非常識であることを見かけます。新築を建てる方の多くが、キッチンなどの住宅設備やデザインなど、今、目に見えることにばかり関心を持ちます。しかしその一方で、目に見えない構造躯体やシロアリ対策、20年後のメンテナンスについては関心が薄いようです。一方でプロである私たちは、建築後に変更することが困難な、目に見えないことや建築後に起こりうるメンテナンスやリスクをいかに回避できるかに関心を配ります。

毎年、数百棟の住宅に関わる私たちプロに対して、お客様の多くは初めて新築を立てる初心者です。しかし、「末永く安心安全に暮らせる住宅を建てたい」という願いは、私たちも、お客様も同じです。これからも、お客様や社会に有益な情報を発信していきたいと思います。これから新築やリフォームを検討されているお施主様は、これまでの世間の常識に囚われず、しっかりと情報収集し、十分に検討した上で、採用を決定して頂くことを期待しています。